海洋生物多様性保全関係機関ネットワーク

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海洋教育事例

観察
ビーチコーミング

目的

 海岸に打ち上げられた漂着物を収集・観察し、陸と海のつながりや海の保全について学習します。

特徴・効果

 海岸で手軽に実施できる海洋教育の一つです。海岸に打ち上げられた漂着物には、陸や海中から流されてきた自然由来のものと、人為起源のものが含まれます。自然由来のものは陸と海のつながりや、海の生物を知る良い素材です。人為起源のものは、海を守る意識づけとして使うことができます。さらに、日本の海が外国とつながっていることを認識できます。

方法

1.場所・時期の選定

 砂浜や砂利浜および足場の良い磯など、安全な場所を選びましょう。波打ち際でなくても、波で陸側に打ち上げられているので、広く探せる場所がいいでしょう。年間を通して実施できますが、海が荒れた後の方が多く見られます。なお、シーズン中の海水浴場は避けましょう。また、地域団体等が清掃活動を行っている場所もありますので、事前確認が必要です。

2.観察前のレクチャー

 海岸には多くの危険があります。安全第一ですから、観察を開始する前に、注意事項を説明します。特に漂着物の中でも、瓶やプラスチック容器に入った薬品や、注射針などの医療系ごみには要注意です。

(実施するときの注意点)

  • まず、実施範囲と時間、スケジュールを確認しましょう。
  • 漂着物の中には危険な物が含まれます。足元には長靴をはき、手袋をしたほうがいいでしょう。(危険な物の例:毒を持った生物の死骸、注射針、薬瓶、発煙筒、プラスチックタンクなど)

   

  • 多くの海岸には日陰が少ないため、夏場の熱中症対策として、緊急時の薬箱の他に氷や冷水も用意します。

 

3.観察・採集の実施

 海岸を散策し、どのようなものが打ち上げられているか観察します。必要に応じて、写真撮影や採集します。ごみなどの漂着物に加え、魚の死骸や海藻、流木などの自然由来の物や、ガラスの破片(シーグラス)なども漂着しています。珍しいものがないか探してみるのが楽しみのひとつです。また、中には外国語が表記されたものもあり、どこの国から来たものか調べてみてはどうでしょうか。時には、クジラ・イルカ・ウミガメの死骸や、サケガシラ・リュウグウノツカイなどの深海生物が漂着していることがあります。そのようなものを発見した時は、近隣の水族館・博物館などに報告しましょう。

(コレクターアイテム)

  • アオイガイ・タコブネの殻:タコブネとはタコの一種で、貝殻を生成します。この貝殻が漂着することがあり、大変珍しく、コレクターなどもいます。

   

  • シーグラス:通常、透明、白、青色などのガラスがほとんどですが、稀に赤や黒、オレンジ色のガラスが見つかることがあります。大変貴重なものは、一部のコレクターには収集対象にもなっています。

 

4.片付け

 すべての観察が終わったら、すべてての観察が終わったら、採集した生物などを海に戻して終了です。貝殻などの遺物は、持ち帰っても良いでしょう。ごみなどはきちんと回収して持ち帰ります。

 後日、漂着物をリスト化して、写真を整理していくと、重要な調査記録になります。

5.その他

 最近は場所によっては漂着船なども見られるようです。発見した場合には、最寄りの自治体・警察などに連絡を入れましょう。

応用事例

”貝殻採集”

 海岸によっては、貝殻がたくさん漂着している場所があります。その中には、きれいな貝殻や珍しい貝殻があるかもしれません。また、貝殻を調べることによって、その場所にどういった貝が生息しているのかということを学ぶことができます。貝の生息調査の視点で実施することも可能です。

”ビーチクラフト”

 ビーチコーミングで収集したガラス片、貝殻や流木などの素材を使ったビーチクラフトづくりと合わせて開催することで、参加者により充実した機会を提供することが可能です。

”海岸清掃”

 海岸清掃と合わせて行うことで、環境美化の意識が向上します。地域や会社などの団体と合同で行うこともできます。最終的なごみの処理については、事前に自治体などと協議しておきましょう。

磯観察 スナガニ調査