海洋生物多様性保全関係機関ネットワーク

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海洋教育事例

調査
海岸漂着物(海洋ごみ)調査

目的

 近年、世界中で大きな問題となっている海洋ごみに焦点を当て、身近な海岸の状況を知ってもらうことで、海洋環境の保全についての理解を深められます。

特徴・効果

 海洋ごみ問題は、今や世界的な環境問題になっています。特に日本周辺海域は、世界でも海洋ごみが多く存在する海域です。海洋ごみの多くは、日常使われている様々な生活用品が、海に流れ出たものであり、海洋ごみ問題の解決のためには、日頃の生活の認識を改善してもらうことが重要です。

 実際に地元の海岸で海洋ごみを調べて、その内容や被害を知ってもらうことを通じて、自分たちの暮らしと海洋環境保全に関する認識を高め、海洋環境の保全活動への参加を促すことにつながります。

方法

1.調査区画の設定
 海岸線に沿って、10m×10mの調査区画を設けます。ごみの状況を見て、1区画の参加人数と時間を設定します。また、参加人数や時間に応じて、調査区画を増やします。

2.海岸漂着物の回収
 調査区画内のプラスチック等の人工ごみや、流木などの自然由来のごみを回収します。回収する対象としては、5mm以上の大きさの漂着物を対象とします。

3.回収した漂着物の分類及び計測

 回収した漂着物を素材ごとに分類し、計数、重量を計測します。

 プラスチック(発泡スチロールを含む)、ゴム、紙、布、ガラス・陶器、金属、その他人工物などに分類します。分類した素材ごとに、総数を計測し、重量を測ります。

 計測結果に基づいて、どのようなごみが多いのか分析してみましょう。さらに、分類する際に、国内由来の漂着物と、海外由来の漂着物(ラベルなどに記された言語で判定)の割合を調べることで、どこから来た海洋ごみが多いか把握することができます。

 また、流木や魚の死骸などの自然由来のごみも調べると面白いと思います。詳細は「ビーチコーミング」を参照してください。

 

4.回収した漂着物の処理

 回収した漂着物は、地域のごみの分別方法に従って分別し処理しましょう。処理にあたっては、自治体などに協力をお願いすると良いです。

 

応用事例

”マイクロプラスチック調査”

 近年マイクロプラスチックの問題が注目されています。マイクロプラスチックとは大きさが5mm以下の細かいプラスチックで、マイクロビーズやレジンペレットなどの微小プラスチックと、プラスチック製品が紫外線や波などで劣化・細分化した微小プラスチックを指します。世界各地で便利なプラスチック製品の普及が進み、回収処理されずに海に流れ出たものが細分化し、急速な速度で広範囲に汚染が広がっています。

 海岸にも多くのマイクロプラスチックが存在しており、多くは砂の中や隙間に入り込んでいて、回収が困難な状況です。目に見えないことから、現存量が把握しにくく、特別な方法で調査を実施する必要があります。

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